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「鎖 -クサリ-」の感想・レビュー

「精悍なクレイジー犯罪者」VS「少年少女」のシージャックサスペンス凌辱モノ。
Leafさんこんな鬼畜モノも出してたんだね、知らなかった。かわいらしい萌え絵とは裏腹にヒロインは容赦ない目に合う、凌辱モノの冠は伊達じゃない。


音楽・グラフィック・システムは高水準、2005年制作とは思えないほど古さを感じない。声優さんの演技もすばらしい、主人公・ヒロイン・悪役の全キャラがハマり役。悲鳴ってこんなに違いを感じれるんだなあ、と思った。
そして絵も良かった。船内をえがいた背景は重厚で緻密、逆にキャラクターはデフォルメの効いた萌え絵。1ピクセルでも線がズレるだけで絵の印象は変わる、という話を聞いたことがあるけど本作は「萌え絵」のなかでもひときわレベルの高い「萌え絵」だった。なんていうか、かわいらしいキャラクターはより可憐(特に立ち絵!)だし、凄惨なスチルは目をそむけそうになる。一言であらわすと達者な絵。ただ、スチルでたまに岸田さんの顔がインしているのは笑った。やってる行為は非道なのに岸田さんの顔面は色男なのでシュール。


そんな岸田さんが大暴れする本作はデッド・オア・アライブ。難易度が高く、ひとつの選択ミスがゲームオーバーという名の死を招くが、弱い私は初手攻略サイト閲覧。なのでそこは支障なかった。

 

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簡易図解

次に気になった部分。上記が一目瞭然、味方の半分が足を引っぱる。
そして親友の男が最悪。小物で日和見なのはまだいい、そういう面が愛嬌になるキャラもいるから。でも友則は姑息で臆病で、敵の岸田にすぐ寝返るわチャンスとばかりにヒロインを犯すわ、ここまで最悪な親友ポジションも初めてだなあ…と圧倒されちゃったよ。岸田は悪人だけど、おまえ(友則)の行動の免罪符にはならない。恭介への嫉妬など行動に至る理由はあるけど、悪役に徹しれない悲哀はまったく感じなかったし、岸田さんのように尽きぬけた悪役でもないのでコイツは最悪です。友則が悪役ポジションならここまでボコボコに言わないんだけど、中途半端に味方陣営にいるからフラストレーションたまっちゃった。


あと、キャラクターの緊張感の無い会話。友達が岸田によってメチャクチャな目にあっているのに、最中にしろ直後にしろギャグを織りまぜた会話をするのはちょっと空気が違いすぎて気になった。特にモニタールームの部屋。「ウィットに富んだ言葉で深刻な場を和ませる」ならわかるんだけど、そういう文脈ではなく、日常モノの会話を切りとって挟んだみたいで違和感。

 

その2点は引っかかったけど、サスペンスものとしては楽しかった。まあ、あんだけ穴ズコバコされて復活早くないか?逆に堕ちるの早くないか?肉体的に強すぎて精神はか弱くない?などツッこみどころはあるものの、登場人物の感情の揺れうごきに惹かれたのでそこはそんな重要じゃない。
家柄や世間体に倫理、極限状態だからこそ「鎖」から解放される人々、特殊な状況だからこそ成立する関係、そして岸田との駆け引き。この作品は岸田という悪役がヒロインと同じくらい(それ以上?に)魅力的で、それが本作の「面白さ」の一端になっていた。パニックもので悪役の濃さは重要だもんね。

 

ことマルチエンドのアドベンチャーゲームは、分岐や複数のEDによってひとりの人間の様々な側面を汲み取れるメディア。そういう意味でいえば本作は「恵」が優遇されているうえに(他キャラのEDは一人一つなのに恵はEDが四つある)、もっともヒロイン然とした「ヒロイン」だった。

「いくら汚泥にまみれようとも、高潔なる白き輝きは損なわれない。」


「鎖 -クサリ-」の本編、「真実の扉」より引用

最初は明乃がメインヒロインだと思ったんだけど、蓋を開ければ恵が強い。明乃はミスリードのための「ヒロイン」で、真「ヒロイン」は恵、裏「ヒロイン」はちはやだと思った。ちはやも強かったなあ…、最強で最恐の妹。
今作を読了したプレイヤーの9割は恵を「ヒロイン」として支持すると思う。とはいえ、その定義はひとによって異なる。なので『今作は誰がヒロインなのか?』を考えるのも楽しかった。人によっては絶対悪役岸田さんとも解釈できるし、愚鈍を貫く明乃がメタ的にはヒロインともいえるし、兄のために世界を壊す系妹ちはや、役に立たなさでいえば明乃とイイ勝負だけど恭介のために涙をこぼすシーンはヒロイン力最大風速が吹いた可憐、おどけてみせて根底では姉のために行動してた珠美、それこそ前述のとおりストレートに受け取って恵でも。主人公の恭介がヒロインでもいいと思う、性格がメチャクチャ良かった。それにしてもこの数行でヒロインヒロイン言いすぎてゲシュタルト崩壊しちゃうよ。

 

まとめ。 ツッこみどころはあるもののキャラクターの感情に惹かれるサスペンスだった。パニック作品として楽しめる一方で、「誰がヒロインか?」というメタ的視点でも面白い。
私は『「兄のために世界を壊す系妹」か「妹のために世界を壊す系兄」』がいると聞いて今作をプレイしたので、ちはやの存在だけで値段以上の満足感を得た。良かったです。 

香月 恭介(CV中本伸輔)


「キャラクターが主人公を信頼している描写があっても、行動に説得力が無いからプレイヤー側は信じられない」はたまにあるけれど逆はめずらしい。自制心があり、逆境に強く、なによりも頭が良い。とても好感の持てる主人公だった。

「正義の味方になるつもりはない。ただ…」
「自分の手の届く範囲で誰かが泣いてたら、それくらいは助けてやりたい」

志乃の事件でヒロインたちほぼ全員に疑われて庇われなかったのが不思議に思えるほど。これだけ性格が良くて人望が無い主人公もめずらしいよ。
冒頭でも記した通り、味方のほとんどが足を引っぱる本作でストレスフリーな恭介の存在には救われた。EDによっては狂気に呑まれるんだけどそこは納得。恭介は強いけど、特殊な過去は持たない普通の少年なので鋼の精神ではない。ふつうの男子高校生にしては銃器とか知識が偏っているんだけどそこは話の都合で納得した。


最初、声優さんは氷河流さんだと思ったら違った(でもこの名前(恭介)で兄で氷河流さんだったら汚いリトバスになっちゃうな)。この声優さんのアダルト名義は初めて聞いたけどやっぱり良い声している。兄を演じてくれてありがとう。

 

折原 明乃(CV五行なずな

 

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印象


「幼馴染」は美少女ゲーム界に星の数ほどいるけれども、彼女ほど好感の持てない幼馴染はめずらしい。主人公に引き続き珍しい連発。こういうタイプは極限状態で役に立たなくても、主人公を心から信頼しているとか芯は強くて折れないとか別の部分で長所を見せるもんだと思ってたら明乃はどれも当てはまらないし何もしてない印象しか残っていない。役に立たなさでいえば可憐もイイ勝負だけど、彼女はヒステリーを起こしながらも自分から提案するし、結果は芳しくなくてもちゃんと自分の意志で行動しているんだよね。一方、明乃はどこまでいっても愚鈍な幼馴染を突きとおした。本作のテーマである「鎖」にも縛られていないし制作陣は明乃にあんま好意的ではなかったのかなあとか勘ぐってしまう。
個別エンドも役に立たないままなんだかんだで脱出して「誰にも言わないから恭ちゃんは半分貰っていい?」と恵に告げて幕を閉じる。この女、スゲーな…と一種の感嘆を得ちゃったよ。姑息な部分を最後の最後で見せた…。

明乃が鈍いほど恵の輝きは増していき、なんかそういう意図で彼女を参加させたのかなあとかメタ的に考えてしまう。

 

片桐 恵 (CVほくとゆりあ)

ヒロイン。彼女だけEDが4つある事といい、この作品は「片桐恵」という少女の様々な側面を描いている。底意地の悪いことを言うと、ほかのヒロインがヒステリックになればなるほど恵の輝きは増している。メガネっ子委員長なサブヒロイン枠だと思っていたので、ここまで恵ゲーとは予想していなかった。

「岸田に脅迫されたとはいえ殺人を犯した」という”鎖”を持つ。しかも本編の事件開始時に発生しており、回避することは出来ない。ほかのヒロインの”鎖”は解放することが出来るけれど恵だけはハッピーエンドでも縛られたまま。「殺人」からは逃れるのは難しいよね…。そんな恵が自分の”鎖”からあがくために泥臭く立ち回るのが良かった。スマートでもなく聖女でもなく、汚さが魅力的で、結果的にうつくしい。唇に血が滲んだ恭介に「おまじない。」「処女じゃなくて悪いけど。」とかすかな口づけをするシーンにはシビれた。


綾之部 可憐(CV高奈ゆか)

けっこう好き。明乃はギャルゲーっぽいふわふわ少女と思わせて妙にリアルな女のイヤな部分があり、そこが鼻について私は好きじゃなかった。可憐は良家の子女でツンデレで黒髪ロング、ヒステリックだけどチョロいし全体的にフィクションっぽさが強くて好き。個別ENDの後味がめちゃくちゃ淡泊なんだけど、主人公のために涙を流すシーンがヒロインっぽくて好きなのでいいや。彼女の”鎖”が「家柄」なので、奉られる義娘という”守られる”立場””から”守る”立場に成長して解放されるもんだと思ってたら別にそんなことは無かった。婚約者がいる立場から解放されて、ふつうの少年の恭介とくっつくという形で解放される可憐は、ある意味いちばん強い”ヒロイン”なのかなあ。

あとプールに入らなかったのは生理だからだよね。ずっと下着(+シャツ)で行動してて大丈夫かなあ、って心配になった。まあ穴ズコバコだからそういう事言ってる場合でもないか。


綾之部 珠美(CV秋月まい)

やんちゃ童女、こうみえて主人公とさほど年齢変わらない。猪突猛進な行動がたまにキズだけど知恵やひらめきで恭介を助けてくれる。直感で行動している単純ガールかと思わせて可憐や恭介のことを色々考えており、個別√に入ると母性を見せるのが好き。

 

香月 ちはや(CV上戸琉


名前に「月」か「神」の字が入ってる女が好きだから香月兄妹を好きになるのは必然、ありがとう。ルナティック(狂気)を冠している女がだいすき。
ちはやのEDは夢野久作の瓶詰地獄を彷彿させる。「愛は神様からの授かりものよ」「天国って地獄の底にあるんだね」は、『兄のために世界を壊す系妹』の本領発揮でシビれちゃったな。極限状態サバイバルゲームで耽美チックなドレスを着るとは思わなかったので、ちはや√ラストスチルは最高だった。「血縁関係」という鎖に縛られ、狂った状況だからこそ成就した関係は最恐で最強。本作は兄妹モノ美少女ゲームの金字塔と思ってしまった。


岸田 洋一(CV安芸怜須ケン)

下手するとヒロインを色んな意味で食っている悪役。「O-PEN SE-AL」「男同士の勝負に割り込みやがって!!ち●ぽ生やして出直してこい!!」など名言なだか迷言なんだか狙ってるんだか素なんだかわからない言動が魅力。頭は良いし剛力なのに間の抜けた部分がたまにあるのが岸田さんの良いところ。
過去に同情するとはいえ犯した罪の重さは変わらない。でも岸田さんは罪悪感とかまったく感じさせずヤりたいだけやって暴れて、突きぬけた「悪」なのが気持ちいい。

「どんなに追いつめられても最後の最後まであきらめず、泥水の中を這いつくばってでも生きようとするのが人間だと思わないか?」

 人間不信になる過去から生還した彼が人間賛歌ともいえる言葉を吐いたのが印象的。あと私は「強い感情を主人公に抱く嫉妬と憧憬の男」が好きなので(バーミリオンのアイザック、おれつばのカケルくん、殺し屋1の垣原など)岸田さんがそっち寄りだったら危なかった。本作で好きなキャラはちはやと恵です。

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折原 志乃(CV篠宮薫) 

速攻で堕ちたのであまり印象に残ってない。


早間 友則(CV安藤正輝)

彼に関しては冒頭らへんの文章がすべてです。