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小説「CARNIVAL」の感想

 

meka.hatenadiary.jp

 上記で言ったとおり「CARNIVAL」の小説を読みにいけた、有言実行。


ゲーム「CARNIVAL」の後日談にあたる、中古価格数万にまでプレミアになっている小説です。「小説でホントに完結する」と聞いて(そう書くと本編が未完みたいな表現だけどちゃんと終わってるよ。)読みたかったものの、わたしが見たときはアマゾン中古価格5万で無言になってしまった。

ありがたいことに「国立国会図書館にある」という情報を拍手からいただき、読むことができました。その節はありがとうございました!!


たしかに「CARNIVAL」をプレイした人はこの小説読んだほうがいいね。瀬戸口さんは人間の陰鬱な感情をえがくのがホントにうまいし、あとがきで全部もっていかれちゃったよ。
なにぶん手元に実物がない状態で感想を書いているので、大丈夫だろうけど矛盾してることいってたらごめんね。

 

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ネタバレなのであとは畳みます。

 

 

マナブとリサ

ゲーム「CARNIVAL」を読了したとき、自分の感想が

「少年と少女が出会って世界は変わらないし、世界のやるせなさや不条理はどうしようもない。だけどおたがいの世界に、ちょっとした革命は起こせる。そこに辿りつくまでの話だと私は思いました。」

 だったんだけど、小説というか後日談で「小規模な革命を起こせても、革命は永遠じゃないんだなあ…。」と思った。

本編は、「幸せは”馬の目の前にぶらさがったニンジン”みたいな存在だけどもうすこしだけこの人と追い求めてみよう」的な、前向きなエンディングだと思ってたし、まあ確かに学と理沙の逃亡劇にかすかな幸せはあったけど、結局学の自殺でふたりの時間は幕を閉じる。


なんか本編でも思ったけど、語り部が「学」のときの彼は「陰鬱で電波やや入っている少年」で、理沙から見た彼は「大人びた言葉をあやつる、ふうがわりな感性が一種の魅力の少年」ですね。
でもまあそのじつ精神がしっちゃかめっちゃかで、物事の裏の裏の裏の裏の裏まで思考をめぐらせてしまい精神が崩壊しかけている、「ふつう」の幸せは手に入れられない才能を持っちゃったのかな。(環境の影響がデカいと思うけどね。)芸術家とかで咲けた可能性もありそう、だとしても長生きはできなさそうだな。むしろ、もっと早く限界がきてたはずが理沙との出会いで長引けた、と思ってる。

だから、ふたりのこの終わりかたは、なんとなく「そうなるよなあ」とストンと腑に落ちた。

 

ヨウイチとサオリ

で、小説の新キャラ。本編で存在は触れられていた理沙の弟、洋一。そして小説版のヒロイン、サオリ。


私は、このふたりも学と理沙のように一般的なハッピーエンドはむかえられないと思ってたら、なんかスゴいちゃんとした(?)ハッピーエンドで驚いちゃった。
サオリが実家に帰ったあと、「洋一がつぎに会えるサオリは、ぜったい変わり果てた姿だな…」と思ってたので、まさか父親がそのまま解放してくれる奇跡がCARNIVALで起きるとはね。ネクロフィリアが変わったかはわからないけど、学の葬式を通して洋一は「生」を感じたし、彼はサオリのことがとても好きだし、サオリは実家にケリをつけて洋一と添い遂げようとしているし、未来は誰にもわからないけどこの二人はハッピーでこのままいられるんじゃないかと思えるエンドだった。

 

サオリ。無垢というよりは愚直すぎる、うつくしい少女。でも彼女の愚直さがいろんなものを救っているんですよね。洋一もそうだし、彼女の父親のことも。よくよく考えたら、父親に性的虐待を受けていたヒロインってのは理沙と同じだわ。
ただし、理沙は「罪と感じて壊れてしまい救済を求めた」のに対して、サオリは「虐待を虐待と感じずに、罪を罪だと思わず、まっすぐに善を信じつづけて他者を救済した」。これはどっちが優れている劣っているな話ではなく、もろ対比だわ。

 

「CARNIVAL」のテーマ

ゲームをやったときはテーマは『幸せ』だと思っていたけど、小説を読了すると「救済」、ウ~ンいや「清算」かなあ。

 

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ゲーム「CARNIVAL」の1シーン

この小説は、止まっていた時間を動かす後日談だった。
洋一の死体愛好(=止まっている時間)が、ラストの学の葬式(=止まった時間)で変化しかけていることといい。理沙が自首をして父親と正面から向きあい、彼女の時間が動きだしたことといい。トラウマで引きこもっていた詠美が学の葬式に参列したことも、それを示唆しているんじゃないかなあ。

本編で「卵が先か鶏が先か」みたいな苦悩が描かれていて、小説で(学や理沙の)父親との過去が清算されてたのを見ると、過去はかならずお前を殴りに来る、ようするに清算するときが来る。でもそれは「罰」とかそういうことではなく、ただ、「清算」するときがくる。そういう話なのかなあ、と。月並みな言葉になっちゃったよ。

 

詠美は悲惨な未来を過ごしていた。たしかに彼女は清廉潔白な人間ではないし、むしろ罪のある人間だけど、それにしたって本編でされた事やこの未来は彼女の罪にはおおきすぎる罰だ、と思う。だけど、だからといって学が全面的に悪いのかというとすこし違うと思うし、そもそもあの学は「別の学」で、その「別の学」が産まれた要因は母親にあって、じゃあ母親が悪かったのかというとそれもまた違って、「CARNIVAL」はむずかしい話だわ。
わたしはテーマを「清算」かと思ってるけど、そもそもテーマとか変に型にはめないほうがいいのかも。

 

ピアノ曲

余談。ゲームのほうの自分の感想でも書いたけど、「2章の表題のトロイメライシューマンの曲から?」と思ってたら「謝肉祭」ってのもシューマンが作曲してるんですね。 

 

子供の情景 - Wikipedia より、第7曲「トロイメライ(夢)」

 

謝肉祭 (シューマン) - Wikipedia

 

作中で、理沙がピアノを弾いてたことにも触れられているし、こっからインスピ受けたのかな。