闇鍋

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『ヴァルプルガの詩』の感想・レビュー

ヴァルプルガの詩

 

1.

「傷物語」を見に行って、軽率なオタクだから「キスショットやエピソードやドラマツルギーみたいな吸血鬼が出るゲームがやりたい」と積みゲーにヴァルプルガがあったから衝動的にプレイ。
結果だけ言うと吸血鬼いません、いや吸血はあるけど吸血鬼っていうより人外で吸血鬼ならではのイベント皆無(日光や十字架苦手、招かれないと家に入れないetc)。
まあそこは私が勝手に期待してただけだからしょうがないね……と公式サイト見たらやっぱり吸血鬼じゃん!!!!!!!どういうことなの。

 

 


『ヴァルプルガの詩(うた)』デモムービー

 

「ヴァルプルガの詩」ってタイトルとオープニングでゴシックホラーロマンスだと思ってたら、実際はロマンス部分しか合ってなかった。いちばんゴシックやりそうな”謎の青年”ですら中盤でちょっとしか展開しないし、兄ルートの終盤が一番活用してる。双子にいたっては純和風。

あと、このオープニングでピンク髪ヒロインとトラのイベントが来そうな感じだけど本編でそんなシーンがあった覚えがない。

2.

攻略キャラクターは4人、吸血鬼(?)1人・人狼2人・兄の構成。

人外モノだけど、吸血鬼要素は前述の通りだし、人狼も「長毛の動物はカワイイね~~」ぐらいで設定はライト。
もっと掘り下げることができそうなのに、結局最後まで明かされない事実が多い。
想像の余地を残すタイプならいいんだけど、人狼一族の出自や蘇芳の親など重要な謎ばっか残ってるから、それは開示してほしい。

 

そもそもタイトルに冠している「ヴァルプルガの詩」は「ヴァルプルギスの夜」モチーフで、「作中の4月30日~5月1日にキャラクターとのイベントがある・Walpurgisnachtという実が出る・前二つはドイツの行事からインスパイアされている(だから冒頭にドイツ語?)」ぐらいしか本作で活用されてない。

要するに「ヴァルプルギスの夜」持ってきたわりには、わざわざこのモチーフにした意味が感じられないし、踏みこみが浅い。

 

ドイツ語にしても雰囲気づくり以外になんの意味あったかクエスチョン。
『ヴァルプルギスの夜だから』とか『兄が医者を目指してる→ドイツ語絡ませる』とかムリヤリ解釈できるけど、ぶっちゃけ柿原氏のネイティブを活用させたかっただけとしか思えない。

 

それと、どのエンディングもご都合主義。ヒロインパワーで解決。ここまできたならディープなバッドでも良かったんじゃないか。

エロティックな要素に関しては、におわせるというか完全にやってるとわかる部分があるけど、人外×吸血×乙女ゲーで全年齢エロをやらないところのほうが希薄だろうと予想してたからそこは別にいいや。でも初夜ムービーみたいなのが全員に用意されてるのは笑った。兄はキスだけだよね?!

 

3.

兄の「姫」呼びや、感情が動かないヒロインなど、ある意味パンチの効いた要素がヴァルプルガワールドに入りこむことをジャマしてきたけれど、なんだかんだでクリアしてしまった(でもトラの攻略率が0.2%たりないからフルコンしてない、だからフルコン後のエピソードと矛盾してること言ってたら申し訳ない)
まあヒロインの性質のおかげで話はサクサク進むし、もしかしたら”謎の青年”ルートで大逆転ホームランを打つという可能性を捨てきれなかった。
結果は…はい。というかおまえもご都合主義エンド。

冒頭のドイツ語は出来のいい洋画みたいで、ワクワクしてただけに残念。

 

システム

次の選択肢だけではなく前の選択肢までも飛ばせるのが便利。
でもサブエピソードを読むための夢小説みたいなシステムはめんどい。
”謎の青年”の名前を入れるためだと思うけど、どのエピソードが開放されたかいちいち覚えてなくてめんどうくさいので、ココは素直にリストアップしてほしかった。

グラフィック

アニメーションするタイプが混じっていて、おもに”謎の青年”が登場するシーンで使われている。迫力があっていいね。
髪色の彩度が高くなくて、人外メインなのに実際にいそうな色味なのは好み。
エロティックなシーンも下品じゃなくて上品な雰囲気。

オープニングの曲が秀逸。
エンディングの曲もアレンジが4パターンあって、ラストシーンからエンディングに入るシークエンスがとてもうまい。まるで今までがメチャクチャおもしろい作品だったと錯覚してしまうほど。
ぜひサントラを出してほしいけど無かったのは残念。

まとめ

いろいろ羅列したけど、もったいない作品だったね。
雰囲気や演出はピカイチなだけに、雑なおわりのシナリオが気になってしまう。
メインキャラで好みはいなかった。”謎の青年”とヒロインの交流はちょっと良かったけどオチがアレだし、しいていうならサブキャラの宇佐が一番好き。
ふりむかないカマキャラ好きなんだよね。

あと乙女ゲーの出演が少ない木村氏(ダンデビのメィジのひと)がサブキャラとはいえ出演してたのはちょっと嬉しかった。

 

泉 詩生(ヒロイン)

「しょうがないのかな」と諦めるシーンが多くて、諦めクセと自分への興味の薄さは後々重要になってくるのでは?って思ったけどまったく関係なかった。
「語り部とプレイヤーの剥離を利用してるんじゃないかこのゲーム?!」ってドキドキしてた私の期待はただの勘違いだった。

 

宇佐のサブエピソードを読んで思ったけど、詩生はお姫様なんだよね。
だから自分から動かなくても話は進むし、兄ルートで男性向きゲームみたいなスチル(服ビリビリ)出るし、すごいモテる。

泉 蘇芳

ヒロインを「姫」呼びする時点で「なんだこいつ」と目が点に。
最初のほうはヒロインももうやめてよ~って言ってるけどそのうちふれなくなるし、後半になっても兄は一回も姫呼びを訂正しないし、ここで名前呼ばないだろってシーンでも使っててコイツわざとか?と疑惑は深まるばかりだった。

 

『発症するのは100万人に一人、5年生存は今のところ1パーセント以下』『進行が早い』病気を患っているならはよ治療にいけや……とツッコんだら話が進まない。

この兄とヒロインの距離感や感情が常人には??????で、感情移入がほとんどできないまま話は進む。
幼少時からヒロインに恋慕を抱いていた兄はホントは従兄でハイハイオッケーオッケーで、なんやかんやで儀式の知識を得た兄は”謎の青年”をまきこんだ儀式をして、ヒロインを鳥籠に閉じこめる系パワータイプの兄貴に変貌。
かたてまにトラたちを襲撃して妹とイチャイチャする兄と、「お兄ちゃんを信じよう…でも…」とウジウジ葛藤する妹。
初夜ムービーじみたもの(たぶんキスだけ?)が流れたりして、たのしい箱庭生活を過ごすが、「このままじゃいかん」とやっと一念発起したヒロインが色々あって兄に食い殺されそうになるが、ここで正気に戻って死にかける兄。
最終的にヒロインの血のパワーで、兄はなんの後遺症もなく回復します。

 

このルートは ‐無‐ だった。

大神 虎丸

最初に言いたいんだけれど、大神一族が人間と狼の二形態を持つのは隠世のちからを得ているからだよね。
ルートの途中で「調査してみよ!」な流れがあったにもかかわらず、よくわからんまま終わってしまったから、そこがずっと気になってた。
あと「長生きする種族じゃない」って宇佐あたりが言ってたけど、ヒロインがノータッチなのは悪い意味で驚いた。そこは結構大事なのでは。

 

趣味が石集めとか餌付けされるのとことか、単純明快な性格にしても年の割には幼いな~と思ったら、基本トラたちの一族は里のもの以外と関わっちゃダメなのね。
つまり今まで関わった人間が少ないから…ってのはこのゲームでは深読みの可能性が高そう。

ヒロインに選ばれた方が長だ!!!展開は乙女ゲーっぽいねと思った。
そして「しょうがないね」で色々納得するヒロイン。はい。
翁に「あなたからは強い意志を感じます」って皮肉かよ。

 

トラは女の子が苦手だけど、ヒロインのことは小さいころに会った思い出深い子としてずっと覚えてた。そしてこれまた色々あってくっつくけど一回離れてまたくっつく。
エンディングがメチャクチャ衝撃的なので、気になる人はゲームやってみてください。
最初の刹那は不覚にも感動したけど、そっから笑いに転じたので。

 

大神 龍丸

リュウのほうがクールだけど、内面はトラと似てて子供っぽいね。

展開は基本的にトラルートと一緒だけど、リュウはヒロインに選ばれたことが重要で長とか一族関連はどうでもいい。
結局力を使い切って能力を失ったけど、家の枷がなくなって里の人間になれたからリュウ的にはハッピーエンド。そしてラストに初夜ムービー。

 

「龍の檻」はリュウに良い顔しといて長にはトラ選ぶという畜生プレイをすると、リュウが病むエンド。
でも二人だけの世界に閉じこもって、ほかには危害をあたえないから優しいヤンデレですね。

逆にトラの場合は、リュウを殺してヒロイン略奪する。トラは「力こそがすべて」なところがあるから、そのへんで兄弟の違い出てるね。

謎の青年

吸血鬼チックだけど、昼でも行動できるし、血は吸っても吸わなくてオッケー。吸血鬼じゃない人外。
謎の転校生としてヒロインのいる学校にきて、そのあと犬を追ってナチュラル不法侵入したヒロインに即正体バレして、伴侶orカニバという極端な選択肢をせまる(要約)。

 

フィンスは幼少時のヒロインとした約束を守るっていう動機が、今までの行動に繋がっている。
感情の起伏が少ないヒロインだけど、それよりフィンスのほうが無表情だから相対的にヒロインが感情豊かに見えて比較的楽しいルートだった。
ジークに「ぐったりした人間をもとに戻す方法はなにか」と聞いて、飯食って寝たらなおるをそのまま受け止めるのは、ここまで心が無になってたところにやっと萌えるポイントが来たなって感じですね。

 

フィンスはたぶん先天的な人外だからある意味ピュアで、ルートもシンプルでわかりやすいのが良かった。
なんでフィンスが世界に拒まれたかは不明瞭なままだけどね。

 

蘇芳
「禁術に必要な条件は、隠世と現世の境界、隠世のモノの強い力、それから‐‐‐人の死」

100年前の志賀喬を不死にする儀式で必要となった「隠世のモノの強い力」がフィンスで、代償としてその土地に縛られた…ってことだよね?
「世界に拒まれる孤独を味わえ」ってセリフにもつながるし。

でもフィンス結局なにものなのか問題は解決してない。
ジークがどんなに探しても見つからなかった「Walpurgisnacht」を1日で見つけたわ~~~~ってシーンは正直わらっちまった。


最終的にフィンスに裏切られてトラたちに襲撃されて消滅するフィンス。なお復活。
このエンド見たとき「またご都合主義か?」と無心になってたけれど、よく考えたら幼少ヒロインの血液が教会に流れたことがフィンスが現世に顕在できるきっかけになったって言ってるし、一応布石はあった。
いやでもご都合主義感はつよいよ。

柿原氏は好きな声優さんなので、柿原氏のドイツ語を堪能できるって意味では本作は楽しかったですね。