闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

「キッキングホースラプソディ」の感想・レビュー

 キッキングホース★ラプソディ|ALcot ハニカム

 

人の恋路の邪魔者を馬に変わって蹴るアルバイト「キッキングホース・ラプソディ」。
メンバー3人(+1人)のなかで男はひとり、カップルができたら残りの2人はどうなっちゃうの?って話。

 

三角関係・修羅場をまじえたシナリオながら、そこまで鬱屈にならず公式サイト通りのポップな雰囲気を崩さない。
嫉妬というよりは「うらやましい」気持ちを主軸に置いているね。
だからこそ、あまり話が重くならなかったんだなー。


隊長の真相とか物語をやたら大きくせずに、ひたすら「キッキングホース・ラプソディ」(+聖)の人間関係だけで収束させたのは良かった。
ミドルプライスだから、下手するととっちらかったまま終わっちゃうからね。

序盤で草太がのばらたちとの距離感に悩むところは、若さを感じさせるほろ苦い部分でいいなあと思ったし、そのあとで恋愛関係を抜きにしても親交を深めるところはほほえましい。
明るいエロゲにおいてはハーレムやったぜ!な主人公が多いなかで、そういう繊細な悩みを持つ主人公は新鮮だった。
「恋愛事ないにしても男を挟んだ女二人の関係はこじれるのか?」ってキーも、うまくまとめてる。

 

好感を持てるキャラクターたちと、ぴりっとした刺激を絡ませながらもドタバタと恋愛がくりひろげられるシナリオはとても楽しめた。
グラフィックも可愛い。

ハニカム特有のクリア後の演出はいいね。あの人もなんかの都合で「うらやましい」気持ちの行き場を模索してたんだろうなあ。

ちなみに私はのばらが一番好きです。

 

辻 志乃

奥手なのに耳年増の虚勢をはってる甘ったれ。
なんか悪口みたいになってしまった、ごめんね。でも特徴を羅列したらこんな感じだよね。

 

草太と男友達みたいな仲だったのに、パンモロラッキースケベで赤面してから妙な雰囲気になって……という導入。

志乃宅で草太とゲームしよ、ってなったときにのばらは自分の誕生日が今日だなんて言えないよなあ。
だって志乃と草太は絶賛いい雰囲気で、今日が誕生日だなんて言ったらふたりは絶対にのばらのお祝いを優先する。それって結果的に二人の仲をジャマしちゃうとか、のばらなら考える。

そういう細かい事柄も絡んで、志乃とのばらとの関係が草太をきっかけにこんがらがってしまう。
プレイヤーは神の視点だから、のばらと「二人」のすれ違いに気づくけど、当事者はわかんない。


のばらと志乃の関係は共依存とまでは言わなくても互いが互いを必要とする、ある意味理想的な仲で、そこに男が入って軸がズレる。
そのことに気づいたことで、皮肉にも草太と志乃はくっつくんだな。
のばらには内緒で付き合うことになるけど、これまた皮肉にも二人の仲を接近させるものに。
そりゃのばらは怒るわって思ったけど、ココでさっさと話して踏ん切りをつけてたら志乃は甘ったれじゃないし、のばらとも仲良くはなってないわ。

 

「ふたりのカップルとひとりの女友達」じゃダメになる関係だけど、「ふたりの甘えられたい関係とひとりの女」ならなんとか。そうやってトライアングルの関係でうまくやっていく。
志乃が甘ったれのままだから、うまくいく関係ってのはおもしろいね。

芹摘 聖

お嬢様。ワックで所作がわからないから主人公の食べ方みるシーンが好き。
恋愛お邪魔団ではオタサーの姫、でも聖は美少女だから誤用か。

 

自己肯定感が低いって明かされたところで、『普通な自分に嫌気がさして非日常な存在である恋愛お邪魔団のドンに……』と予想していたけど、『優秀な兄への劣等感が、”持ってない”お邪魔団への共感につながった』だった。
じゃあ恋愛じゃなくてもいいのでは?とちょっと思ったものの、本作のキーである「うらやましい気持ち」が、お邪魔団につながるからいいや。

聖は自分のことを凡庸だと言っているけど、エロに関しては非凡で魔性の女。だからワキとか髪とかマニアックなプレイが多かった。というか、のばらや志乃もマニアックだった。志乃とか最初はわきから始まってたし。

 

最終的にお邪魔団が恋愛応援団になって、うらやましいをプラスに転化しよってオチは前向き。
聖ルートは志乃やのばらの関係がこじれることはないから、エロ重視ルートに感じた。 

織奈 のばら

ポテトのこと”いも”って描写した時点で胸がときめいた。
お嬢様然とした容姿とは裏腹にぶっきらぼうな性格、設定勝ち。
志乃の告白をさえぎって、聖の「うらやましい」気持ちの共感する例にして、やっとルートに入る。

 

のばらは貧乏、でもそれを理由に清潔感を欠けさせたり付き合いを悪くしない。
いや、志乃の誘いを断ったりはするけどできる限りは参加して、決して不愛想なわけじゃない。
だからこそ「恋愛」っていう余裕にまで、手を出すことができない。
恋愛の話をすると自分のみみっちい部分まで出てしまい、相手に嫌な思いをさせてしまうかもしれない。
でも主人公はそれを快諾してくれた。
そして自分をゆがめないのばらが、自分の家庭環境を軽く見てくれる人を求めていたから草太を選んだ、ってのも自然な理由。

草太と恋人になってものばらは自分のスタンスをゆがめずに、付き合ったことを志乃たちへ速攻で話す。
のばらの性格自体が凛としていて、好きにならない理由が特に見当たらない。のばらいいね。

 

そんなしっかりしたのばらが避妊のこと考えないわけないし、一緒にコンドーム買いにいくシーンはこの二人はホントに両想いなんだなと感じる。まあ避妊は結局しないけど。あと生理周期を気にするのはエロゲで珍しい。

 

そして草太をめぐる事柄で志乃と聖の仲は深まり、のばらが疎外感を感じるきっかけに。
修羅場とまではいかなくても志乃たちとは妙な関係になり、でももうすぐ志乃の誕生日だからちゃんと祝おうとバタバタあって、最終的に志乃たちも祝ってくれる。
志乃たちもほんとはふたりのことを祝いたかったけど、「うらやましい」って気持ちがジャマをして素直になれなかった。

『のばらとのカップルはみんなとのカップル』みたいなエンドで、最後おめでとう幸せになってくれ。ほっこりと幸せな気持ちになった。