闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

「NO,THANK YOU!!!」の感想・レビュー

「太陽がジリジリと肌を焼く。たった一度、最初で最後の夏がはじまる―」
キャッチコピーがコレなんだけど、本当に最初で最後の夏だった。


恋愛ADVに復帰したときに評判良いから体験版やったのだけれど、「明るめのバカゲーなのかな?」とスルーしてたんだよね、特に好みのキャラもいなかったし。
でも実際はシリアスな展開が待っている良作らしく、それならやってみたいな~~とちょうど夏っていう季節も合ってるし再販されたし購入。

 

結果、おもしろかった。
『全ルートおもしろい』or『全ルート萌えた』のどっちかはあるんだけど、両方を満たしてくれる作品ってあんまり無い。
ところがノーサンは全ルートおもしろかったし萌えた、あなどってた。
わたしが好きな男性キャラはだいたい美少年系だから、そういうキャラがひとりもいないどころか攻略対象4人のうち2人は毛もじゃもじゃのオッサンがいるノーサンで全員萌えるとは微塵も思ってなかったわ。
いちばんはマキちゃん!!!!35(?)歳サイコー。

 


まず、文章がとても読みやすい。簡潔ながらも描写が丁寧。
普段エロシーンは最初だけ聞いてあとは重要なとこ拾い読みしながらスキップしちゃうけど(アハンアハン一辺だと途中で飽きてる、ごめんな声優さん)、本作の濡れ場は数が多いにもかかわらず、ちゃんと読んでた。
尻のシワまで描写する、男性向けに近い熱がこもるようなねっとりとした描写なのに、語り部のハルの性質ゆえか解剖学的でどこか乾いたところのある文章と細やかな心理描写は、読んでて引きこまれたよ。
というかエンディングで気づいたけど、和泉さん参加してる。どこ?エロシーン?なるほどね。

 

シナリオはアウトローなVシネぽいかな?
体験版やったときはグラは無いとはいえグロがあるとは予想してなかった。
夏を強調しているからソーダみたいにさわやかなフレーバーだと思ってたけど、後味は清涼感というよりは柑橘類に近い。
本作の肝は「すべてがハッピーエンドとは言えない」ってところで、それが余計に酸味を強くしている。

周回で真相が見えてくる構造だけど、プレイ前に頂いたアドバイス通り「1週目はそういうことを気にせずに好きなキャラとのエンドを見たほうがいい」と思う。
ちなみに私の初回はひろしルート、ひろしとの夏はたのしかったね…。

 

普通に異性を愛するタイプが、ハルっていう男に惹かれていく過程が描かれていて、そこがよかった(ちなみに主人公総攻め)。
ハルは押せ押せタイプで心より体の付き合いからはじまるから、そのへんも成人向けならでは。
恋愛というよりは、支配欲や利害の一致などあんまり甘ったるい関係じゃなかった。すき。


グラフィックは男性向けでメジャーな方が担当、なのでとても安定している。差分もすさまじい量。
女性向けではあまり見ない絵柄で、骨格と肉感をガッシリと描いている。

システムは充実していて、体毛オンオフできるのは笑った。
プレイ中は使わなかったけれど、ものは試しと乾との濡れ場で一度使ったところ「おまえは誰だ」ってくらい脱毛してしまったので腹が痛い。

 

総合すると、巷の評価通りおもしろい作品だったよ。
成人向けだから絡ませられるエロやエグさをフルに活用していて、夏にやって良かった。

 

あと、なぜか「太陽がいっぱい」 を思い出した。
美女はいないけど美男はいるし焦がすような太陽とサスペンスとやるせないエンディングが揃っているからかな、まあ淀川氏もホモセクシュアル説となえてたからオッケーオッケー。

 

あとはキャラのネタバレ感想。

 

 

ハル

明るくておバカだけど、やたらケンカが強くて、死線をくぐりぬけたみたいなことをちらほらいうし、みょーにドライだから過去になにかあるんだろうなあと思ったら案の定だけど予想よりズシンと重いのがきた。

奔放に見えて、いちばん色んなものに縛られてるんだなあ。
銃を打っていいのは打たれていい覚悟を持ったやつだけだ~~~~~みたく、行動相応の覚悟を持ってるのが好感。 

 

ハルがすべてから解放されて自由になるグランドフィナーレが無かったのは、どうしてだろう。
そのルートが存在しないってことは、メタ的な意味でゲームからもハルが解放されることは無いって言われているようでちょっとさびしい。
「最初で最後の夏」ってコンセプトが自由になったらズレちゃうからか、そんな奇跡が起きるなら琉の妹や乾の息子を回避できたとかなのか。
それでも、どうやってもどのエンディングでもハルが帰ってしまうのはやりきれない。
タイトルから消える演出とか「ああ~~~~………」ってつぶやいてしまったよ、でもフルコンで帰ってくるのは最後には希望があったんだ!!!!!やったぜ!!!!!!!!やったか???!!!

 

秋山博之

ひろしは、いいやつだね。
家庭環境のせいですれたときもあったけど、とてもいいやつ。
でも、だからって善意がむくわれるとはかぎらない。
ひろしルートはサブキャラは誰も救われない、ベストエンドで大和が生存するぐらい。

 

「やっぱり俺は俺のやり方を変えられない。結果を恐れて保身に走るような人間にはなりたくない。」

このセリフはとても良いね、ひろしはまっすぐな男だ。
バーのメンバーのなかでアンダーグラウンドな部分に一番遠くて、一番人情的。
今は救おうとするものが手のひらからこぼれ落ちて行っても、いつかその真摯さがひとつぐらい、ハルと手を取りあえる未来を得ることぐらいは考えてもいいよね。

 

ハルに執着する理由が、性欲と支配欲の延長が入り混じったものかもってのは萌えた。
ひろしは誠実だから今まで童貞だったけど、男相手にはひろしの男の部分が反応して執着するのはよくないですか。

 

マキ

不愛想に見えるのは怠惰だから。
マキちゃん視点モードで風呂に入ることすらめんどくさがってたけど大丈夫か。
人のことを見ていないように見えて、意外に気が利くし洞察力が高い。

目の色薄いから尾行なのに目立つサングラスかけてきたシーンや、革のソファの上で裸はベタベタするってイヤがるマキちゃん、熊っぽくてかわいい。

 

ベストエンドで、あのマキちゃんが初めてがっつくのは燃えたし萌えた。
このエンドだとマキちゃんがハルを引き留めるんだよね…しかもお前がいなくなったら寂しくなるって、ここまで自分の気持ちを吐露してなかったしそのせいで兄貴のことも間に合わなかったマキちゃんが………しんどもえた。

ちなみにマキちゃん視点の話に出てくるメキシコ女性はユウヤがかくまってた女性?
だとしたらマキちゃんはその女性と関係があって、それもあって責任の一端を感じているってことか。

 

黒沢 琉

琉はカッコイイ男だった。そしてケツさわったらガチキック笑った、そりゃ怒るわ。
傲慢で高潔。冷たいけど礼節はしっかりしてて、あいさつは無視しない。
「琉は頭が良くてカッコイイ男だ(略解)」って本編で言われているけどホントにその通りだなと思ってて、そういう要素をハルとプレイヤーで剥離させずに行動で示したことに静かに感動。

琉ルートは、ひろしの友達は母親と肉体関係あったとか、ひろしルートの裏が明かされるのが新鮮。
このルートだけがサブキャラの件が根っこまで片付いているよね。

 

琉宅のキス攻防戦は萌えたし、ハルがガンガン性的にも押すけどそのぶん琉も静かに対抗して(といっても琉は踏ん切りのいい頭の良さだからブチギレない)、チケットの交渉も含めて、ハルはチュッチュなのに琉はビジネスライクでいこうとしている関係がグッド。
そして琉がハルにフリーセックスだったのは、妹の手がかりをつかむために篭絡してたから。琉は頭いい。

 

「料理が得意なのは持ち出せた遺物のひとつが、琉の妹のために母親が作ったレシピノートだから」で、その件も含めて、琉の妹のことはしんどい。達磨が出るとは体験版だけじゃ思えなかったよ。

なんでこうなったのかは理不尽な不幸なんだろうけど、それにしたってつらい。
グラで出なかったのは、女性向けだからか。
男性向けだったら達磨ドーーーーーーンっと出しそう、そして更なる追い打ちマッハパンチ

 

あと、琉は無毛だから毛モードの有無無いの笑った
朗報、メガネキャラだからメガネの有無をエロシーンで選べる。

 

乾 浩一

おっさんは最後にプレイしたルート、最初に思ったのは毛モードがフルに役に立つねってことだった。

 

意趣返しみたいなもんで手コキまで持ってたのに、実際には昨夜の過ちは無かったのはそりゃおっさん怒るわ。
でもその衝突に根を張らないのは、おっさんのハルへの甘さが出てるなあと思った。
おっさんみたいな酸いも甘いも噛み分けた責任感が強い男と、ハルみたいなストレートな男の組み合わせいいね。
乾はハルがしょんぼりしたり笑顔でニッコニコだと強く出られないんだなあ、いいね。

乾はプレイ前はストレートゾーン圏外なのに、フェラしたあとにキスしたの死ぬほど萌えた。すごいよ、おっさん。

 

結局、ハルは息子じゃなかったけど琉の妹の件を考えると酷な話だけど他界していたほうがマシだよなあ…。
バッドエンドで出てくる歌声は妹だろうし、乾のありさまは何も言えない。
そのかわりベストエンドの、達観してるハルを殴ってつれもどす!!!!な乾には希望が持てる。 

レンレンは琉への純粋な憧憬を抱いてて乾をナメてるけど、琉や乾の真意を知らないのがイイ感じにちょろそうでかわいいね。
胸のおおきい美人なお姉ちゃんがいるって設定も好みだし、レンレンのスケベ展開あるかな?と期待してたら無かった。はい。