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闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

「ANGEL TYPE」の感想・レビュー

なんというかやっていてちぐはぐというか妙な違和感があって、クリア後に調べてみたらもともと延期地獄からの会社倒産でその後本作を拾ったのがminoriだったらしく、たぶん完成していたCGとキャラを再構築したのが今回やった「ANGEL TYPE」だったのかなーと。
本来はシナリオにCGを後から合わせるものが、今作はCGにシナリオを合わせる部分があって、それが違和感の理由なんだと感じた。

 

優等生だった主人公が心の病で定時制に通って、そこで出会う少女たちとの物語。
雰囲気はメチャクチャ良い。
定時制の学校が舞台ってことなので夕方から描写されることが多く、暗がりと透明感のある独特の雰囲気をかもしだしている。
主題歌も卑怯、こんなん流れたらあんまよくわかんないシーンでも感動してしまう。(でも1回しか流れなかった)

 

シナリオは起伏があまりなくて淡々としている。
それが静謐な雰囲気と調和してるっちゃしてるんだけど、語り部の主人公があまり自分とは合わなかった。
彼は考えすぎるタイプで、その繊細なくどさが後半になったら改善されるのかと思ったらそんなことはなく、結局主人公が自発的に自分の問題と向き合ったのって砂緒ルートだけなのでは。

それもこれもキャッチコピーの「ときには翼のない天使のように」の通り、この物語は主人公にとっての翼のない天使(ヒロイン)に出会って救済される物語なのであって、主人公の成長とかは二の次なんだろうなあ。

 

 

攻略対象の女の子たちはいろんな問題をかかえて定時制に通っていて、ルートによって主人公と一緒にその問題と向き合うことになる。
でも、その問題も未憂以外はそこまでおおごとではなくて、各ルートは3行ぐらいにまとめられる出来事しか起きていない。
本人たちにとっては大きな出来事だろうけれど、ルートに入ると主人公とヒロインのふたりだけの世界が展開されることが多くて、それが余計に「そんなにたいしたことなのか?」と真顔になってしまう原因だった。

 

システムはバックログが一行単位なのがちょい不便、それ以外は特に問題ない。
一般的な恋愛ADVと同じインターフェイスだけど、主人公の独白だけサウンドノベル風になるのは雰囲気が出ていた。
良かったのは立ち絵が背景に調和して色味が変わるところ、特に川原の髪色が光によって青や暗い茶に見えるのはお気に入り。

エロシーンは薄い、薄いって言われているライアーよりもさらに薄い。
エロシーンに限らず差分がほぼ無いのは発売の経緯を考えると仕方がない。

 

総じてあんまり楽しい作品じゃなかった。
ここで言う「楽しい」はエンターテイメント的な意味じゃなくて、物語に入りこめなかったということ。
「ANGEL TYPE」は普遍的な物語でそこはよいのだけれど、閉じた世界でこっちが入りこむスキマがあまりない。
主人公に同調できる人は心の奥底までひっかかれるような衝撃を受けるんだと思うけれど、自分にはあまり合わなかった。

 

ただ前述の通り、雰囲気は秀逸。
これでもう少しシナリオの目線が広かったらハマったかもしれないけど、詩希ルートの閉塞感は魅力的だったしさじ加減が難しいね。

 

 

佐倉 詩希

押しが強い不思議ちゃん、猫をいつも連れている猫っぽい少女。
浮世離れしてるけど、本質は主人公と同じく笑顔の裏に何かを持つ人で、主人公に惹かれたのも彼の寂しさに共感したから。
初対面なのに主人公を家に招いたり、膝枕を勝手にするなど、警戒心が皆無なのは彼女が「ただ今したいことをする」という刹那的な考えだから。
主人公を信頼してるのもあるんだけどね。

 

両親が他界して多額の保険金を持っている。
自分の家を守りたいという理由から養女に引き取る人の考えも聞かずに、自分の世界にひきこもるのが彼女の問題。
でもエンド1も2も、その問題が解決してない…。
エンド1は結局保険金目当てだったのか善意だったのか、それを問うこともなく主人公とふたりだけの世界に入っておわっちまう。
エンド2は、そもそも詩希が記憶喪失になるし。

 

詩希ルートは、ずっと一緒にいれると無意識に思っていた猫に老衰という事実をぶつけられて、刹那的な永遠を信じていた詩希がその壁にぶつかる話。
主人公っていう永遠に出会えたのはいいのかもね…、問題ほぼ解決してないけど。

 

川原 砂緒

幼なじみキャラにしては珍しく、疎遠になっていたが(定時制で)最近再会という設定。

音楽少女だったが極度の緊張でコンクールから逃げてしまい、それ以来はピアノに触ることがトラウマに。
そのトラウマを改善するために協力していくうちに、仲が深まっていく。
そして妹が心臓の病を患っており、それを姉のことを思って隠していたことから姉妹のあいだで確執が生まれていたのだけれど、それもなんだかんだで解決する。

そういうルートなんだけど、あっさりしているというかもう一押し欲しかった。

 

柚月 未憂

光線過敏症で定時制に通っている。
だから夜の校舎っていう暗がりを怖がらないし、「昼に学校に行くのって楽しい?」って胸に刺さる問いをする。

結局どうあがいても未憂は死ぬ運命なんだけれど、肝心の主人公が受け身っぽくて未憂がすごい頑張ってた話だった。

 

いとこのめがねっこ。
隠しキャラなのかな、ルートは短くてオマケ扱いっぽい。
前から主人公のことがほっとけなかった、つまり好きだから世話を焼いていたことが発覚。
恵は他の攻略キャラとは違って、特別な問題を抱えていないから恵ルートも主人公が恵とこれから頑張ろうなエンドで、あまり印象に残ってない。