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闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

「吸血殲鬼ヴェドゴニア」の感想・レビュー

エロゲ版仮面○イダー。
実際、クウガのオマージュ(タイトル2文字・場所や時間のサブタイトル)があったり、クリーチャーの原案が韮澤さん(仮面○イダー電王とかのクリーチャーデザイン担当の人)で、本家の人が関わっているのは驚いた。
あと本作発売の数年後に吸血鬼○面ライダーが本家で登場するから、先見の明があったの作品なのかも。

 

ただ、このヴェドゴニアが仮面○イダーと決定的に違うのは「正義」を描いてはいないってことかな。
この「正義」って概念にふれると、ひとくくりに言えないし価値観の相違に触れなきゃいけないし、自分なんかがダラダラ書き記してもレビューっていう主旨が変わっちゃうので、そのへんは省略。
なんだろう、うまく言えないけど、惣太が戦っているのは「自分を吸血したリァノーンを殺して人間に戻るため」で、ルートによっては殺すことに葛藤して惣太はリァノーンにとっての「ヒーロー」にはなるけど、「戦えないすべての人のために戦う」というヒロイックさは無かった。
そもそも彼は日常を守りたいのであって、人間を守るわけではないからね。
惣太は異形の力を大勢の人々のためでなく、特定の少女のために使っているから、本作品では「正義」を描いてはいないんじゃないかな、と感じた。

 

「敵と同じ力で戦う」ってのも仮○ライダーオマージュの要素で、

「吸血鬼なら誰しもが邪悪ってわけじゃなく、要は咬まれた人間次第なんだろうな。」

ってセリフもあるし、ヴェドゴニアのテーマ自体が「キミはこの力、どう使う?」なんだと思う。
コレは虚淵氏がメインライターを担当した仮面○イダー鎧武のキャッチコピーそのままで、鎧○はあんまりそれを上手く表現できてなかったけどヴェドゴニアでは「忠義」「嫉妬」「芸術性」「同族嫌悪」「愛欲」と、さまざまな方法で活用されているのはおもしろかった。

 

ストーリーは13話構成、毎回OPとED(カット可能)が挟まれる。
1話を読み終わるまで約30~50分ぐらいなのでサクサク進めて、区切りが良い。
ヒロインは4人でエンドは各キャラ1種類しか存在しないので、微妙に金太郎飴な構成。
熱い展開だけど、デスモドゥスが勢いよく壊れるのを何回も見るのはちょっと飽きたよ。

わりと昔のゲームなのでボイスは無し、ボイスがあったほうが盛り上がる作品だと思ったのでそこは残念。
それと戦闘システムが面倒くさい。

まあでもこの前やった「ぼーん・ふりーくす」と比べたらクリックして戦闘が終了するだけで拝みたいけど、無味乾燥な早押しクリックなので、あってもなくてもどっちでも。

 

meka.hatenadiary.jp

 

虚淵氏の文章は簡潔ながら深みがあって、とても読みやすい。
ヒロインの描写よりも銃器の説明のほうが、こころなしか熱が入っていたのは笑った。
欲を言えば、両親のことやクラスメートのことなど惣太や香織の日常をもっと描いてほしかった。

グロは必要な要素だったけど、ヒロインとの情事シーンは一回は入れないとまずい!っていう感じでエロはねじ込んだ感が。
描写もさっぱりですぐ終わるし、異人姉妹は完全にエロ担当だったね。
惣太が敵を滅する覚悟のきっかけでもあるけど。

そんなかんじで、仮面○イダーのエンタメ部分を切りとって、エログロとヒロインと虚淵氏のたくみな文章が加わった良作だったよ。
個人的な萌えは無かったけど燃えはあった。
リァノーンルートの不死の哀愁が好み。

 

ここからは完全に余談になるけど、ヴェドゴニアやったあとだと鎧武はエロゲで書いたほうが面白い作品だったんじゃないかな。
個人的に鎧武は期待していたわりにはウーンな作品で、あまり良い印象は無かったんだけど、それは鎧武が持っていた要素が全部ゲーム向けで実写との相性が最高に悪かったから。
登場人物の多さと物語の展開が追いついていないから、どうしてもいっぱいいっぱいで、話の都合でキャラを動かしている感じが強くて、キャラが急に頭悪くなっているシーンがちょいちょいあったのが気になってしまった。
コレは周回必須のADVにしたら十分に尺がとれて解決した点だと思う。
ヒロインは舞と耀子しかいないからエロゲにしてはヒロイン少ないけど、そっちのほうが数倍おもしろかったよたぶん。
というか虚淵氏の文章で見たかったんだよ、鎧武
カイトの理念とかコウタの心情とかミッチが舞を好きな理由とか、そういうのがフワフワしてたから楽しめなかったけど、文章なら十分に堪能できたよ。
あと鎧武で書かれていた○面ライダーって、「正義の味方」じゃなくて「正義」そのものだったんだよね。
個人的には、「○面ライダーはあくまでも正義の味方であって、正義そのものになってはいけない。たとえ、一人を見捨てることで多くの人を救えたとしても、目の前の一人を救うのが正義の味方として”ただしい”のでは」なので、諸悪の根源であるサガラやそれに準じたあやまちを犯したミッチを怒らずに舞やインベスと別の星に行ったコウタは最善の行為はしたかもしれないけど、それは正義であって○面ライダーではないかな、と。
あとミッチの件は「間違った行為をしても人はやりなおせる」ってことなんだろうけど、コウタの許しや高虎の庇護のまえに、ミッチに必要だったのは叱咤だったと思う。
総じてエンターテインメントとしては良かったけど、○面ライダーっていう作品の倫理としてはズレた作品だから、自分とはあんまり好みが合わなかったんだろうな鎧○。

 

鎧○のことで脱線しすぎた。
ここからは、ちゃんとヴェドゴニアのキャラのネタバレ感想。

惣太

主人公。
ふつうの学生だったけど吸血されて半分人外になり、絶大なパワーを持つヴェドゴニアに変身してバイクに乗って銃器をふりまわして敵を倒しながら、人間にもどるためにリァノーンを探す。
仮面○イダー的だけど変身はベルトではなく自傷もしくは性的興奮、ニチアサはムリだ。

エロゲの学生主人公にしては肉食系というか荒々しい、男の友人はいそうだけどいないのか?
リァノーンとは夢でしか会えないってのはロマンチックで結構すきな設定だった。

香織

毎朝おこしにくる勝ち気な幼なじみキャラ。
主人公が8年ぶりにこっちにきて家を提供してくれた一家の娘で、なんだかんだで毎日弁当を作ってくれる世話焼き。

惣太が守るべき日常、つまり人間側のヒロイン。
自分のそばでは惣太は弱い男の子でもいい頼ってほしい、だからこそ香織は人間の世界でいてほしい。
守られるばかりではなく自分からも惣太を守りたいっていうのは良かったけど12話の情事シーンのあとはウソだろってなった。
モーラだったかフリッツが性的興奮でも吸血鬼化するって言ってたよな確か…、惣太…おまえ…おまえ…聞いてなかったのか…。

そのあとは気絶だったから終盤は空気、よくもわるくも普通の幼なじみキャラを突き通した。

弥沙子

メタルが好きな優等生メガネっこ。
彼女のルートの大半はリァノーンと兼任しているせいか、弥沙子ルートなのにリァノーンのシーンが多い。
弥沙子はかなりウジウジしてあまり好きなキャラじゃなかったけれど、リァノーンとのいちゃつきっぷりを見せられたところは、「あっ……元気だせ」とさすがに同情。

 

終盤のリァノーンの喪失感をフォローした描写がまさかのダイジェストで、鎮魂歌っていってもそれまでの惣太を支えるまでの過程がゼロだから、なんで惣太が弥沙子を好きになったのか?????????だった。
それと、どうして弥沙子が惣太をここまで慕っているかの理由が不明瞭。
家柄の束縛とか軽音部の活動とか端的なことは描かれているけど、ヴェドゴニア自体日常より非日常のウェイトが高い作品だから、前述の部分がなおさらきっちり描いたほうがいいんじゃないかと思った。
じゃないと「惣太が好き」っていう設定が設定だけになるかも。


人間側のヒロインが香織、人外側のヒロインがリァノーン、そのはざまがモーラだとしたら、弥沙子はどれでもないんだよなあ。
憧憬の非日常に自分が入るスキマは無いならムリにでも関わってやんよ、な積極性もとぼしいから物語への関与が薄いし、リァノーンルートで念力を手に入れてどんどん遠くに行ってしまう惣太に吐露した言葉とか、香織ルートで吸血鬼化してウピエルとのSMとか、なんかそういう個別ルート以外のほうが輝いていたように思える。
リァノーンルートのラストで、数十年後に惣太と出会うシーンはグッと来ただけに。

あと1年後のバンドの恰好は吸血鬼バージョンの使いまわしで、ここにしか登場しない栗城の立ち絵用意するならこっちも新規用意してあげて。
ジャーマンメタルの話は面白かった。 

モーラ

スレッジハンマーが武器のロリっこ。
絶対吸血鬼だと思ったらダンピール。
脳筋のフリッツに比べ、無関係の人間はなるべく守る主義。

 

モーラとフリッツは、吸血鬼の女性と彼女に例外的に惚れた大男との恋人関係かなんかだと思ってたから兄妹ってのが意外。
フリッツはモーラ以外はどうでもいいし異性的な思慕してるしリジェの兄的な発想だから、モーラルート終盤の吸血鬼化からはリジェゲー…?
コレも弥沙子ルートと同じく終盤が駆け足で、腹違いとはいえ実の兄を惣太のために殺した折り合いがカットされてる。
左腕を失って人間のままの惣太は、10年後もモーラといつかくる二人だけの時間に思いを寄せてハンターとして戦うエンドで、ハッピーとかバッドとも言えない。
惣太が人間である以上は確実にモーラよりさきに死ぬから、モヤモヤするネ。

治癒される破瓜は半分は人外という事実を叩きつけられると同時に、香織との日常で積もる劣等感の説得力があって、このゲームやっててエロシーンが初めて必要だと思った瞬間。

ちなみにモーラ19歳だとしたらフリッツって20代の可能性あるよね。

リァノーン

荘厳さと少女性のハイブリッドな吸血鬼2000才、好きな設定だ。
部族の王のアルガへ神のちからを引き渡す役目だったけど、アルガは亡くなって、妄執ともいえる執念で2000年をさまよった。
そもそも主人公がアルガに激似だったのが、このヴェドゴニアの全てのはじまりか。

リァノーンと惣太の関係も好きだけど、ギーラッハとの主従関係もなかなか好み。
ギーラッハは600歳でリァノーンと一緒にいる吸血鬼のなかでは古株、神や永遠この世の不滅の真理を探すために不死になったわけだけど、その探し続けてた答えは姫(リァンーン)で、すでに願いは叶っているし真理の生き証人みたいなのがリァノーンだから彼女を慕っているんだなーと。
ギーラッハとの出会いらへんの、生きていたことの価値を悠久のときを使って見つける、って言い回しが不死モノならではの魅力が出てた。

 

「今、わが姫君の2000年に渡る苦悶と憎しみをこの剣に託し……己は貴様の前に立つ。
越えてみせろ、伊藤惣太。さもなくば滅んで塵と散れ‼」

このセリフもかなり好きで、もうギーラッハがリァノーンと幸せになってもいいんじゃないかと思ったけど、アルガの存在がある限りギーラッハとリァノーンの幸せは一致しないね。