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闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

「サフィズムの船窓」の感想・レビュー

サッフォーが生きていたら大歓喜してたかもしれない美少女楽園レズゲー。
開始早々世界名作劇場風の画面がイン、校歌に乗せてエロシーンが流れるシュールなオープニングはバカゲーのほうのライアーを期待させてくれる。
実際、レズビアン王子様の杏里と魅力的な「子猫ちゃん(杏里の恋人たちの名称)」たちの蜜月を眼福するゲームなんだけど、最終的に着地したのは青春学園ものだった。

 

3人のヒロイン(ソヨン・アルマ・アイーシャ)がそれぞれメインの「本編(3種類)」と、充実したオマケシナリオの「幻想編(28種類)」の2編で構成されているゲーム。
本編は、「女子だけの学園船ポーラスターで発生した連続婦女暴行事件、その濡れ衣を晴らすために3週間で真犯人を探せ!杏里・アンリエット!」って導入。
ミステリーかと思いきやそこはかなり雑で、そもそも杏里は推理可能なIQじゃないので親友の鼎に安楽椅子探偵を頼み、情報収集という名の美少女たちとの逢瀬を重ねてる。
そして正直なところ、アルマルート以外はチュートリアルだったよ。
3人のメインヒロインは可愛いけれど子猫ちゃんたちの個性が強すぎて、いまいちパンチが欠けたように感じてしまう。

なので、メインはオマケの幻想シナリオ群。
10分~数時間で読める豊富なシナリオは、こっちが本編じゃないかと錯覚させてくるし、実際「がんばれ!ニコル」なんて本編並みのボリューム。
フルコンしたあとだと、本編は1本道で良かったんじゃないかと思えてくる。
幻想シナリオのほうが面白いし、そもそも本編のどの時間軸でどの設定を引き継いでいるのかが定かじゃないのでだったら3種類に分けた意味が無いよな~と。
しかもそれぞれがパラレルだから、3編を通して深みが増したキャラがいるかっていうとウーンだし。

 

 

主人公の杏里は性欲が強くて愛人だらけで夢中になると猪突猛進だけど、子猫ちゃんたちへの気持ちはすべて本気。

端的に言うと

「何様だ、きみは!」「王子様さ」

が全部あらわしてくれている。

決して冗談で愛をささやいているわけではないので、不誠実だけど誠実っていう矛盾を押し通して好きになれる主人公だった、
コレを男性でやったらかなりうまく描写しないと嫌味のあるキャラになったんじゃないかな。

 

グラフィックは絵柄のクセが多少強いけど、国際色豊かな美少女たちをしっかりと描いている。
百合だからか秘部をフロントにした構図が少なく、凝った構図が多かった。
そうそう、百合といえばプラトニックなイメージだったけど、雄々しい杏里が主人公なので軽率にチュッチュしてエロシーンは多め。
犯人に強姦されるシーンは本編のみ、それ以外は全て和姦。
抒情的な文章といい耽美なスチルといい、凌辱シーンは凄惨だけど一種の美しさを醸しだしてる。
でも通常のエロシーンで、花のフレームがぶわっと出るのは笑った。

 

私がプレイしたのはメガストア版だけどシステムは昔のライアーのままで、一部のシーンとエロシーンのみのパートボイス。
コンフィグの説明でメッセージスピードの表示の仕方を「小川のせせらぎ・木陰を渡る風・雷鳴の如く」って記載したのはサフィズムがはじめて、そんなとこまで耽美にしたのか。

 

上流階級の子女たちがくりひろげる会話はエスプリが効いているうえに、女性しか登場しない(例外として犬とネタバレ、でもネタバレも厳密には男?だから女性のみといって差支えが無さそう)ので独特のここちよい雰囲気。
国柄が出る会話が多くて、そのための参考資料とかいっぱいあったと思うけど、それを感じさせずにさらっと描写できるのはすごい。
バカゲーに分類される作品だけど、最後に開放される隠しシナリオ2つが少女たちの絆と青さを描いた性行為皆無の青春ものなので後味がやたら爽やかだった。

 

 

そういうわけで、かっこいい主人公とかわいい女の子がイチャイチャするっていうエロゲーの本質を突いていた作品じゃないかな。
シナリオの統合性より、キャラクターの魅力で押し切った作品でおもしろかった。

ただ、幻想シナリオにあるライアー内輪っぽいメタネタは量が多くて、くどい。
「杏里の記憶」ぐらいならいいんだけどね…行殺新選組好きだし。

 

個人的にはイライザとアイーシャとアンシャーリーが好き。
ちなみにアイーシャはメインヒロインのシナリオを担当したまでは良かったけど、メインなのにかげが薄く、オマケでもネタにされる不遇っぷりなのが残念だった。
イライザは腹黒ではなくしたたかなメイドってとこがいいね。
アンシャーリーは一歩間違えたら頭おかしいところをスレスレで低空飛行している壊れっぷりが好み。

あとボブゲ版でスパダリが男子校で活躍するのも見てみたいな~と考えたけど、この雰囲気は女性だけの学園だから醸し出せたんだろうな。

 

続きはキャラ感想、ネタバレ。

 

 

ファン・ソヨン

本編では、けなげでかいがいしい元気少女っていう王道だったのに幻想シナリオでは変な方向に舵を切ってた。
もともとビジターズ(年下)を好きだったから素質はあったのね。

ソヨンルートの犯人は両性具有だったレイチェル先生で、現場を調査したときに来たのであやしいと思ってたら案の定。
本編のなかでは、レイチェルがバトル担当したおかげで終盤が一番盛り上がったルート。

トラウマのせいで水が苦手、12時になったら強制的に寝ちゃう。
キャラは普通にかわいいけど、杏里の子猫ちゃんたちが出るキャラが食われてた本編。
幻想編のほうが生き生きとしていたな。
医学の先生になったソヨンと学園長になった杏里のイチャイチャ下剋上IFがあったし、杏里を唯一食えるキャラの可能性が。

 

アイーシャ・スカーレット・ヤン

憂鬱な南国娘という設定と声が好みドストライクだったのに扱いが不遇で泣いた。
声メッチャいいのにね…脳髄ゆさぶる。
パルプ・フィクションを見たブライアンだって生き生きした女はファム・ファタール(運命の女)にはなれない的なこと言ってたし、ポテンシャルは秘めてたよアイーシャ
そういう意味では杏里を駆け落ち同然にまでさせてひとり勝ちエンドをもぎ取ったのは運命の女だったのかもしれんけど、このエンドはソヨンとか被害者の子…って気持ちになるからモヤモヤするんだよなあ、鼎さんは謝ってたからなおさら。

ハードな過去の影響があるとはいえ、アイーシャ自身が弱くて逃げクセがあるからそこを成長させるところを杏里相手だとすべて受け止めちゃうから仕方ないか。
ずるい女とか愛人枠すきだからアイーシャのキャラは好きだったけど、幻想シナリオのヨゴレメタ扱いとラストシナリオでひとりだけ成長立ち絵が無いのはなんでだ。
サウナ立ち絵すら危なかったんだぞ。

 

ハイテンションの杏里とアイーシャダンススチルと、純白ドレスの立ち絵が好き。

 

アルマ・ハミルトン

ズレた箱入りのお嬢様と思ったら、隔離されたお嬢様だった。
おしべとめしべの話したときは冨樫の幽白おもいだしたわ、世間知らず通り過ぎて無知。

ウェルズはソヨンルートで肝心なときに役立たずだったし、このルートでは犯罪に関与してるし賭博やってる場合じゃないぞ。

本編って基本的にメインヒロインは受け身だけど、アルマだけは鼎が犯人と知って落ちこんだ杏里をはげまそうと能動的になるんだよな
イライザも言っていたけど、周囲に従順なお人形かと思いきや意外にも自分の意志で色々選択できる子だもんねアルマ。
環境に振り回されても、自分のこころまでは振り回されないみたいな。

無知で愚かな自分をかえりみることが出来たのは杏里のおかげだけど、それはきっかけに過ぎないので、ちゃんとこれからは杏里に頼りっぱなしじゃなくて自分からも色々なことにアタックしようと考えているし。
個人ルートでウェルズを告発する誇り高さや、「がんばれ!ニコル」でのニコルへのリスペクトでどんどん好きになったキャラ。

 

イライザ・ランカスター

杏里の子猫ちゃん。

昔は杏里のことを毛嫌いしていたうえに、性格も180度違って線民思想の高慢ちきだった。
没落して、杏里と向き合ったことで今では忠実なメイドに。

杏里との関係すら自ら客観視してきた節があって、一筋縄ではいかないメイドだけど、仕事のやりがいと杏里との逢瀬を楽しんでいて良かった。
子猫ちゃんたちは卒業したらいつかどこかの殿方と結婚する人も多いだろうけど、杏里が卒業したあとも一生学園を出られないイライザは本当の意味で生涯たったひとりの愛する人って枠になりそう。

 

クローエ・ウィザスプーン

杏里の子猫ちゃん。
実兄と性的関係を持つ、ギリシャ正教徒。

静寂を愛する少女で、さわがしい杏里にテコンドーをよく決めていてホントに杏里の子猫ちゃんか?と思うけど結構メロメロ。

「……ちがうわ、好きなの。ジェラシーを燃やしている時の自分が。
あなたが好きだって、よりはっきりと確かめられるでしょう?」

 杏里が兄に容姿が似ているって時点でかなり複雑な心境なわけで、そのへんは「クローエの秘密」で丁寧に書かれていてた。
「恋文」は、告白してきた少女の思いにクローエなりの返し方をする話。
クローエが少女に伝えようと思ったのは情熱かな。

クローエ関連の話は複雑で大人な雰囲気ただよう話が多かった。
ちなみに1年後の姿は、胸のあるイケメンだったよ。

 

ヘレナ・ブルリューリカ

杏里の子猫ちゃん。
メガネっ子風紀委員で、彼女がいなかったら事件のほとんどは解決しなさそうだし事件が発生しないにしてもやたら騒動を引き起こす杏里をリカバリーする決定打がいなくなるので、そういう意味でお疲れさまでした。
ツンデレどころかチョロい、チョロすぎるよ。
だんだんエロシーンが省略されているのは笑った。

 

ニコル・ジラルド

杏里の子猫ちゃん。
博打の代償として子猫ちゃんになったわけだけど、今ではすっかりノリノリでマニアックなプレイを楽しんでいる節が。
SFプレイは笑った。

ニコルの過去とメディッチ家とかレオナルドダヴィンチの素描とか史実のIFを絡ませていて異色な「がんばれ!ニコル」でかなりプッシュされているし、第4のメインヒロインだね。
脳がスカスカだから濃い史実には頭をフル回転させる必要があったよ。

あと「ドレスアップ」が良かった、女の子は砂糖菓子と素敵なものでできているんだよ。

 

ニキ・バルトレッティ

杏里の子猫ちゃん。
ジャスチャー無口で音楽家の両親から愛想をつかされて学園船に飛ばされた。

「ニキ、君にはお日様の光が似合うよ!」な杏里の言葉にニキはかなり救われたんだろうな。
杏里は女性関係はだらしないけど、相手の女の子の悪いところも良いところもひっくるめて全て受けとめる甲斐性がある。


ニキも言っていたけど杏里が杏里じゃなかったら杏里は早々に誰かのものになってニキを愛するまでには行かなかったんだろうな。
組曲『花』」や1年後を見ると内面も大きく成長してたので、いつか両親とも分かりあえる日がくるといいね。

オオカミプレイは???だった。
あと巨乳キャラだからサイズの合った制服着るだけでかなり大人っぽくなるわ。

 

アンシャーリー・バンクロフト

杏里の子猫ちゃん。

ネジが1本どころか何本抜けてるのか誰もわからない。
父親が麻薬の元締めっぽい暗喩や普段の言動からわかる通り、サイケデリックジャンキーもといシ○ブ漬け。

不思議と魅力のあるキャラクターで、ぽろっとこぼした一言が意外に核心をついた一言だったり、ときおり見せる過去が意味深だったり。
昔は神童で父親の後継ぎ有力だったのに、家をちょくちょく抜け出してそれからの記憶がはっきりしないし、パパはとうとうママになるし、って?????????
ラズベリー水」で見せた理性は、アンシャーリーの諦念と渇望が見え隠れ。
ボゲードンはシ○ブの暗喩だと思ったけど、ソヨンルートでソヨン助けたし実在してるんですか。

 

天京院鼎

杏里の唯一の肉体関係を伴わない友人。
その理由は年上なのも大きい。
推理担当のミキサージャンキーで変人だけど杏里と並ぶと意外や意外まともなひと、でもアルマ編では犯人だった。

杏里への恋心が暴走して暴行するけど、皮肉にもこの鼎×杏里がサフィズムで一番百合らしいように思える。 
普段の杏里はスーパーチート雄々しいからなあ。

鼎の妹の縁は杏里の毒牙にかかるのか、それともプラトニックな友人で突き通すのか。
年下だから杏里を止めるものは何もないとはいえ、どうなんでしょうね。