闇鍋

恋愛ADV(エロゲ・ボブゲ・乙女ゲ)の長文感想置き場

『BAD APPLE WARS』の感想・レビュー

題の和訳は「ろくでなし戦争」。

略解すると「乙女ゲームエンジェルビーツみたいなものかな?」と購入前は思ってた。
確かに先にABを知ってるならダブる展開がちょいちょいあるけれど、死後の学園とか学生組織ってのは土台が同じなら頻出しやすい設定だし、別物だと思う。

 

システムだけど、選択肢が存在せずCGをタッチするモードで分岐する。
分岐と言っても、「地雷の部分を連打したらバッド・それ以外連打でハッピー」の2パターンなので攻略見ずにフルコンできる。
このタッチモードでなぜかヒロインと攻略対象が全裸になるのは謎だったけど、いやらしさゼロなサービスシーンの一環と思うことにした。

 

で、テーマは「希望と絶望は表裏一体」「生きることは絶望を食らうこと。それでも生きたい?」みたいな感じ。
クソゲーではないと断言できるけど良作か?と聞かれるとウーンで、全体的にあっさりしている。
回収されない設定(先生トリオの正体、リンカに規制が効かない理由。)があって、脳内補完に任されるところが多く、テーマに関しても掘り下げが甘いのでなんともいえない。
ゲームやってれば上記の設定の理由はなんとなく察するし、一概に放置したとは言えないけど、明言されない部分が多いからモヤモヤが残る。
それと唐突にエンディングをむかえたり、恋愛過程が省略されてるように感じるところや、同じ展開が多い。
あと生死をテーマにするなら、攻略キャラの生前スチルが欲しかった。
裸システムのために、個別ルートのスチルの構図がかなり制限されてるんだよなあ。

 

あとヒロインのリンカはネガティブな面倒くさい語り部になるんじゃないかと危惧してたけど、覇気は無いふつうの女の子なので安心した。
良く言えば、何者にも染まらない無垢。悪く言えば、何も持たない「からっぽ」。
つまり、思ってることが、そのまま出るわかりやすい子。
「からっぽ」なのを気にして、鬱々とする所があるけど、このゲームの淡々さが良く作用されて、そんなにあとを引かない。

 

まあ物足りなさはあるけれど、短いセンテンスの文章はテンポが良いしグラフィックも好みだし、ナラカ(少年らしさもあわせ持つ小動物かわいい女装少年。恋愛関係にならないリンカ絡みのエピソードをもっと見たかった。)に癒されてサトルとリンカの甘酸っぱい関係に萌えて、サクッとできるキャラゲーとしては値段分は楽しめたと思うので買ってよかったと思う。

でもこれから購入予定の人がいたら、「アッと驚くシナリオ!思う存分イチャイチャ!」を期待してるなら少し考えたほうがいいと伝える。

 

続きから、キャラの個別の感想。ネタバレ。

 

・白髪の風紀委員

本名はワタセ。
ロボットみたいな無味乾燥なキャラ、途中まで。

 

「周囲を死と言う名の不幸に落としてきた。そして絶望すると分かっているのに希望を失わず校則違反をする生徒たちに、自分を重ねていたことをリツカに追及され、彼女を大切な存在だと感じ、自分と共にいてはいけないと考える。」


そんな感じ。
で、このリンカが大切な存在になった過程が、けっこうスッとばされてる。
体感だとワタセの記憶を読み取りながら、サトルの矯正コンボ(4回ぐらいあった)を観覧して、ワルイコ側をウロチョロしてたら、なんか好きになられてた。
キスシーンも置いていかれて、私は????????だった。
個別ルートに入るきっかけも、偶然ネックレス拾っただけかーい。

 

恋愛過程が薄いから、最後のリンカの

「あなたがいないと、私は……”からっぽ”のままだから。」

ってのも、いつのまにそこまで…って気持ちに。
でもまあ、からっぽのリンカが愛する人を見つけて、その人のために献身するってのは成長ってことか。

ワタセの周囲の者が死んでいくのはそういうものだとして、

  • リンカの死因はワタセの影響?
  • ワタセがnever学園に来たってことは彼の死因は?

これが不明なのはどうするんだ。

 

 

・サトル

ガリベンホリック。ヒロインと同時期の転入生。

会話のドッジボールどころかボールすら投げてくれなさそうな彼だったけど、個別ルートでは風紀のリンカが本を取り上げないことに気付いたので、ボールはキャッチしてくれる。 

勝手に勉強したり、ヘンなところで会話を返してきたり、マイペースなネコみたいでこのルートのサトルは可愛い。
他ルートだとマジで会話が通じない電波なのかと。
どうしてこのルートではリンカを受け入れてワルイコ組と交流できるまでになったのかは、この世界線では彼の気まぐれさがうまい方向に進んだって事だと解釈します。
ネコっぽいだけに。


風紀委員とワルイコ側の狭間でゆれて、からっぽな自分に苦悩するリンカと、唯我独尊にガリ勉するサトルのコミュニーケションが丁寧だった。
徐々に思いやりや励ましの気持ちを表してくれたり、甘味が好きなサトルのキャラクターは好み。
唯一、同年代の二人なので妙に甘酸っぱいのがイイね。

 

自分が死んでることに気付いた(おそい)サトルは自暴自棄でイイコになろうとするけど、ココで白髪に逆らってサトルを守ろうとしたリンカを、サトルが庇うのは良かった。

からっぽだったリンカも挑戦で生の実感を得て、風紀も自分の意思でやめて、サトルは自己肯定できてヨウも復活したし。
母のためとはいえ、独りよがりな幸福を追い求めていた少年が、実は幸せは近くにあったんだ!という広い視野を入手するまでの成長物語ですね。
いいじゃん!オーソドックスで。

 

バッドは無限ループってこわいね。
コレ見て思ったけど、サトルは自分のガリベンスタイルに予想外の方法で水を指されると、元々の優しさがにじみ出てくんのかな?(単にコレだけ前の記憶あるのかも。)

 

ツンツンショタキャラのデレが私は好きなので、サトルルートは楽しかった。

 

・シキシマ

ポエマーマイペース。
CV石田では既視感があるキャラ。
おだやかで穏和だけど、あきらめぐせがついてる。

リンカと出会って、諦めていた「絵で美しさを伝える行為」に、やりがいを覚える。
絵の醜美が分からなくても、自分を理解しようと踏み込んでくるリンカが気になっていくシキシマと、穏和だけど時おり見せる澱が心に引っ掛かり、シキシマに惹かれていくリンカ。

その辺まではいいんだけど、オチが…。
生まれ変わりっていっても、大正のシキシマと平成のシキシマは同一の人間じゃないだろう。それで新たな恋のスタート切るっていうのが、それでいいのか?と心が晴れない。

 

バッドは共依存!またか。
黒蝶スチル見るとシキシマの顕在化能力は、もっと出してもよかったな。
最初らへんの黒い花をふらせるスチルが気に入っている。

 

・ヒガ

オサレビーパップハイスクール。実兄のことをとても尊敬している。
乙女ゲーみたいなシーンが多かった。

ナラカ関連のエピが多いルート。ナラカかわいい。
ヒガの粗雑に見えて、繊細で優しいってのが表されてて良かった。

そして急に卒業してびびった。金太郎飴展開を微妙にはずしてきたから。

さらに、これもシキシマと同じように生まれ変わり問題が…。
コレ一本で別エピできるのに、葛藤をまるまるスルーされてエンド!だから、喉に小骨ささった気持ち。

 

兄貴への傾倒が悪化して、考えるのをやめたのがバッド。
これもまた依存。
というかバッドはサトル以外みんな依存エンド。

血の繋がらない兄貴への憧憬が、自分への低評価および周囲への気配りに繋がってるわけで。
そういう意味で、リンカとちょっと似てたんだね。


愛の循環・兄への思い・生まれ変わり、っていう要素をドコドコ投入したけど消化不良で終わっちゃった印象。

 

・アルマ

インナーがセクシー。
競泳水着みたいなののサイドにファスナー付いてるし。

 

ヒロイン以外の恋人がいる。
恋人じゃないにしても両思いの女の子がいる。
その子のことが本当に大好きで、それこそ病死した彼女を忘れていく自分に絶望して自殺するほど。
アイテムの赤い糸も彼女との想い出アイテムだし。
たぶん人によっては地雷。


そしてリンカはアルマの彼女の生まれ変わりだと、ラストに発覚。
彼女を投影しなくても、リンカ個人が好きってオチだけど、なれ初めっていうか無意識にリンカに惹かれたきっかけは彼女の生まれ変わりだからだよな。

そしてバッドエンド。
前彼女の代用だとわかっていてそれを許容するリンカと、記憶の混濁でリンカと彼女を同一視するアルマ。
コレは好き。 

あとハッピーエンドは年の差だいぶありそう。犯罪になりそう。
卒業したからセーフ。